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サンエイコラム
Column

2019.09.30

全量自家消費

町外れの大きく開いた土地によく見られるようになった太陽光発電施設。それらのほとんどは、「固定価格買取制度(FIT制度)」を使用した全量売電(生産した電気を全て売却する方法)が目的で建設されています。しかし、最近では事業所や工場の屋根に太陽光パネルを設置し、発電した電気を売るのではなく消費する「自家消費型システム」を導入される事業者様が増えてきています。

なぜ、自家消費型システムを導入する事業者様が増えてきているのか。その背景には2つの問題があります。


屋根上に設置された太陽光パネル

FIT価格の値下がり

FIT価格は年々値下げの一途をたどっています。来年も更なる値下げが行われると予定されており、このまま進むといずれ電気料金(買電価格)よりも下回ると予想できます。

太陽光発電施設の導入が始まってから幾年か経過したため、設備導入におけるコストも比較的安価になりつつあります。しかし売電価格の低下に伴う売電収入の減少も起きているため、利益が出づらくなってきているのが現状です。

再エネ賦課金(電気料金)の値上がり

FIT価格の値下げは、売電を目的とした大規模な太陽光発電所の建設が各地で相次ぎ過多状態となってきていることに起因します。さらにそれは各電力会社が買取をおこなう電気量が増えるということにつながっています。電力会社が買取る電気量が増えるほど、消費者の電気料金に含まれる「再生可能エネルギー発電促進賦課金」が上昇し、電気料金の値上がりに繋がってしまっています。

メリット

上記のようなFIT価格の値下がりや再エネ賦課金の値上がりを受け、事業者様の中では全量売電ではなく全量自家消費へと切り替える動きが多くなってきました。そのメリットは、大きくわけて4つあります。

①電気代が削減できる

全量自家消費とは、工場の屋根、敷地内の空きスペース、駐車場に設置したカーポートの上など、事業所内に設置した太陽光発電システムで作り出した電気を売るのではなくすべて事業所内で消費することです。自分達で生み出した電気を自分達で消費するため、電力会社からの買電量を削減することができます。

電気料金は、「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」によって決まり、電力量料金と再エネ賦課金は電力使用量(買電量)によって変動するため、使用量を削減することで電気料金を削減することが可能です。

また、年間の最大電力需要量(デマンド)を迎えることができれば(デマンドカット)、それを基準にして決まる「基本使用料」も抑えることができます。このように全量自家消費することによって、電気料金の大幅カットができる可能性があります。

②有事の際に電源が確保できる

太陽光発電は、太陽光が当たれば発電を行います。そのため有事の際に電力会社からの電気供給が途絶えても、事業所内で発電して電源を確保することが可能です。

有事の際に電源が確保できるということは、従業員の安全やライフラインの確保はもちろん、周辺地域の住民の方々のライフライン確保にもつながります。地域に密着した企業としてのイメージアップだけでなく、企業の社会的責任を果たす上で重要なファクターとなるでしょう。

③節税や補助金の利用ができる

太陽光発電施設は二酸化炭素を排出しない発電として、また生産性向上に繋がる設備として国が導入を推奨している発電施設です。太陽光が当たり、開いた土地やスペースがあれば設置できる発電施設であり、建物の新築にあわせて屋根に載せられることが多く、一般家庭から事業者まで幅広く普及しています。

この施設が売電目的ではなく自家消費目的で建設される場合、国や県・市から補助金が出る場合があります。また中小企業経営強化税制や生産性向上特別措置法などで税制優遇が適用できる場所もあります。

④投資回収の早期化ができる

年々のFIT価格の値下がりに伴い売電による収入も減少してきているため、売電によって追加収入を得るより自家消費することで電気代を節約する方が長期的に見ると得になる可能性が高いです。ただし、実際に収入が入るわけではないため実感はしづらいところがあります。

補助金や税制の利用により全量売電目的に比べて設備導入コストを抑えることができ、電気代を削減できればその分離液を確保することができます。売電による収入と電気代削減によって得た利益の差が大きいほど、設備投資の回収が早期化できます。

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